校内研究

1 主題設定の理由
(1)社会の要請から
激動の変化の時代である現代において、持続可能な社会を形成するために教育現場に求められるのが、学びに関わる人々の「Agency」を高める必要があるとOECDが述べています。(「OECD Learning Framework 2030」)
自ら考え、主体的に行動して、責任をもって社会変革を実現していく力 (例)・将来的な目標を見据える力 ・批判的思考力 ・現状に疑問を持つ力 等 【Agencyの特徴】 ・Contextual:人や社会における関係性の中で育つもの ・Non-linear:非直線的性格 ・Multi-dimensional:多面的性格(道徳性、社会参画、創造性、等) ・Not-replaceable by Artificial In電話ligence:AIによる代替が困難 |
その中でも、「Student Agency)」「Teacher Agency」、そして、生徒と教師が目標を共有し、相互に支え合い、協働して学習の共同制作者になる「共同Agency」の3つを重要な概念として挙げています。
【Student Agencyとは】
「変革を起こすために目標を設定し、振り返りながら責任ある行動をとる能力」と定義されています。本校ではなりたい自分になるために責任をもって主体的に行動する生徒としています。
【Teacher Agencyとは】
「学校改革やカリキュラム改善などの変化を起こすために、自分で目標を設定し、振り返り、責任をもって行動する資質・能力」と定義されています。本校では、なりたい教師になるために授業改善に進んで取り組む教師としています。
【共同Agencyとは】
生徒、親、友人、教師が教育経験を通じて、自分達の発達を双方向的に共同して律することと定義されています。本校では、生徒同士がつながり、生徒と教師が仲良く信頼関係で結ばれている状態としています。
つまり、3つのAgencyが育成された学校とは、生徒や教師がなりたい自分に向かって主体的に学び、両者が信頼関係で結ばれている学校であり、それこそが、本校の目指す姿です。
また、本校では、生徒たちが社会や世界に向き合い、関わり合い、自らの人生を切り拓いていくために、教科横断的に求められる資質・能力を「自主」「友愛」「創造」の3つに整理、明確化し、教育活動全体を通して育んでいくものとしています。
「自主」 自ら進んで学校生活に取り組む力(意欲),健康な心と体(忍耐力,精神的回復力) 「友愛」 仲間と仲良く生活する力(協調性),相手と円滑に意思疎通する力(伝える力,聴く力) 「創造」 学校や地域に貢献する力(社会共生力),多面・多角的に物事を考える力(考え抜く力) |
【Agencyの育成と主題達成のイメージ】
Agencyとは、主題達成へ至るための「登山道」であり、3つの資質・能力(「道しるべ」)に沿ったAgencyをたどることで、主題達成という「頂上」へ至ることができます。
2 主題の意味
本校では、主題・副主題を次のように設定し、主題研究を進めています。
見通し、振り返り、学ぶ楽しさを実感する生徒の育成 ~Student Agencyを身に付ける Teacher Agencyの向上を通して~ |
(1)「見通し」について
「見通し」とは、単元や授業の最初に学習内容や課題を確認する活動になります。単元や授業の最初に、学習内容の確認を行ったり、課題解決に向けた解決法を考えたりすることで、生徒が何ができるようになればよいか、何が分かればいいのかがはっきり分かります。この「見通し」をもつことで、生徒たちはこれから学習する単元や1単位時間の課題に対して、主体的に解決法を考えながら臨むことができます。そうすることで、自分なりの課題へのアプローチの仕方を考えられるようになります。
(2)「振り返り」について
「振り返り」とは、学習した内容を再確認したり、自分なりにまとめたりする活動です。本校では、授業の終わりに必ず「振り返り」の時間を取り入れることで、生徒たちは学習した内容を再確認し、自分の課題へのアプローチが有効だったか、また次はどのようにすればより良い成果を得られるか自分の考えをつくりかえられるようにしています。
(3)「学ぶ楽しさ」について
学ぶ楽しさは、知識や技能、スキルを獲得するプロセスに喜びや充実感を見出すことにより実感することができます。本校では、「自主」(見通す)「友愛」(対話する)「創造」(振り返る)の学習過程を大切にし、生徒が「学ぶ楽しさ」を感じられる教育活動を意識しています。
更新日:2024年08月08日