薬剤耐性(AMR)を知っていますか
薬剤耐性(AMR)
薬剤耐性(AMR)とは、抗菌薬(抗生剤・抗生物質)が効かない、効きにくくなったことをいいます。
抗菌薬の不適切な利用により、細菌が薬に対して抵抗力をつけることで、今まで効いていた薬が効かなくなってしまう状態です。抗菌薬が効かない薬剤耐性菌が増えると、これまでは適切に治療をすれば回復できた感染症の治療が難しくなって重症化しやすくなり、死亡にいたる可能性が高まります。
今、対策を講じなければ、2050年には年間1,000万人が薬剤耐性菌関連で亡くなると推計され、がんの死亡者数を上回る可能性があるといわれています。世界のどこかで耐性菌による感染症が流行した場合、人や物の交流を通じて世界に拡大するおそれがあり、薬剤耐性(AMR)の拡大を防ぐために国際的な取組が行われています。
日本でも2016年に「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン 2016-2020」を策定し、薬剤耐性対策に取り組んでいます。また、福岡県では2020年に「福岡県ワンヘルス推進基本条例」を制定し、6つの基本方針のひとつに薬剤耐性菌対策をかかげ、薬剤の適正使用を推進しています。
未来に使える抗菌薬(抗生剤・抗生物質)を残すために私たちができること
かぜやインフルエンザに抗菌薬は効きません
感染症にはかぜやインフルエンザがありますが、これらはウイルスが原因の感染症です。ウイルスによって起こるかぜには、抗生剤や抗生物質である抗菌薬を飲んでもウイルスはやっつけられないのです。
処方された抗菌薬は医師の指示通りに服用しましょう
抗菌薬は、途中で飲むのをやめてしまったり薬を減らして飲んでみたり、医師や薬剤師の指示から外れた使い方をすると、十分な効果が得られずに新たな耐性菌が出現するリスクが高まります。症状の有無に関わらず、指示通りに抗菌薬はきちんと飲み切りましょう。
私たち一人ひとりが抗菌薬を適切に使用することも重要です。
基本的な感染対策をしましょう
日常できる有効な対策は「こまめな手洗い」です。みんなで感染症にかからないように予防することが大切です。咳やくしゃみでしぶきを飛ばさないための「咳エチケット」や感染症には「予防接種」で予防できるものがあります。
からだの抵抗力が病原体の感染力よりも強いと病気になるのを防ぐことができます。バランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動で体の抵抗力を高めて感染症に負けないからだを作りましょう。

関連リンク
AMR臨床リファレンスセンター 薬剤耐性についてわかりやすく楽しく学ぶことができます。
厚生労働省「薬剤耐性(AMR)対策について」 2016年に「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」を策定し、関係省庁と連携して効果的な対策を推進しています。
政府広報オンライン 抗菌薬が効かない「薬剤耐性(AMR)」が拡大!一人一人ができること 薬剤耐性の仕組みと危険性 、拡大防止のために私たち一人ひとりができることを紹介しています。
福岡県ワンヘルス推進サポートサイト 「人の健康」「動物の健康」「環境の健全性」を一つの健康と捉え、一体的に守っていくという考え方と私たちができることを紹介しています。
更新日:2025年04月25日